月と風と薔薇と偽りの王女
Story

Chapter2
犬になったお姫様、姫になったお犬様

ム ーンペタという町で、やけに人懐っこい犬がいたので、小便を引っ掛けてやる。
俺様は犬と遊んでいるほど暇じゃない。

ムーンペタの町からしばらく歩いて、ムーンブルクの城にようやく辿り着いたが、 使者の言っていた通り、ムーンブルクは壊滅していた。
瓦礫の山を次々とどかして、ナナの手がかりはないかと探していると、 地下室への入口を見つけた。俺達はそこで地下室でナナを逃がす為に、 犬に変身する呪文をかけたという魔道師の霊に出会った。

その呪文を解除するには、真実の姿を映し出すという、ラーの鏡が必要らしい。
俺達はラーの鏡の隠し場所を聞き出して、早速ラーの鏡を探しに行く。
ヘドロまみれになって、毒の沼地の奥深くに埋もれていたそれを手に入れ、 今度はナナが変身させられている犬を探す事にした。
犬を探すと一口で言っても、犬なんていくらでもいる。 途方も無い捜索活動になるだろうと思ったが、 この前小便を引っ掛けた犬が、また俺様の足元に擦り寄って来た。 物は試しとこの犬にラーの鏡を向けてみると、鏡の中に映し出されたのは、 すっぽんぽんのナナの姿だったのだ。

呪文が解け、人間の姿に戻ったナナは、ガキの頃からしばらく見ていないうちに、 俺様に相応しい女へと成長していた。 しばらく気を失っていたナナを、俺様自らが介抱してやった。 ナナの意識が回復すると、俺は出来る限り優しくナナを抱いた。 もう二度と、こんな辛い目に遭わせないという決意と共に……


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